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  リオ五輪では、“霊長類最強”の吉田沙保里選手(33)が、史上初の選手団女性主将を務めることになった。彼女自身、4連覇達成への期待もかかっているが、実は、ここ最近、スポーツ紙記者の間で、評判を落としている。荒稼ぎ体質に変わり、「取材するなら3万円」とギャラを要求するようになったからだという。

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 昨年の暮れ、吉田は10年間所属した「ALSOK」を退社し、現在は、フリーという立場である。

 アマチュアレスリングに詳しい、スポーツジャーナリストが解説する。

「ALSOKからは、数千万円の年収を貰っていたはずですが、当然、他社のCMの仕事は引き受けられませんし、テレビ番組やイベントなどへの出演にも制約があった。吉田とすれば、リオ五輪の前で、タレント活動をするのに最も価値の高いうちに、その幅を広げておこうと独立したのではないでしょうか」

  確かに、フリーになってからは、「明治プロビオヨーグルトR-1」や「日本生命」、スマホゲームなどのCMに登場し、テレビのバラエティ番組からも引っ張りだこ。すでに、ALSOK時代よりも稼いでいるのではないかと言われている。

 そのうえ、本業であるレスリングの取材をする記者からも、ギャラを受け取ろうとしているのである。

■スポーツ記者倫理

 スポーツ紙の五輪担当記者の話。

「もともと、彼女はサービス精神旺盛で、こちらが質問する前から、“恋愛したい!”“誰かいい人いませんか”などとコメントをしてくれて、記事作りがしやすい選手でした」

 ところが、この春先からそれが一転したという。

「彼女がマネジメント契約を結んだ会社があるのですが、そこのマネジャーから、“今後は囲み取材は構わないが、個別の取材には3万円を頂戴します”と通告されたのです。バラエティ番組ならともかく、スポーツ報道にギャラが発生するなんてあり得ません」(同)

 そのため、記者団から総スカン状態になっているという。

「リオ五輪で注目を浴びるのは間違いなしの吉田を、事前にまったく取材しないというわけにはいきません。本音を言えば、3万円を払ってでも話を聞きたいくらいなのですが、それでは、スポーツ記者倫理とも言うべきものを破ることになってしまいます」(同)

 とはいえ、これまでにギャラを要求する選手がいなかったわけではない。

 前出のスポーツジャーナリストによれば、

「Jリーグ発足当初、一番人気だったヴェルディ川崎の有力選手らがそうでした。現役時代のアントニオ猪木も、一時、“最低10万円くらいは貰わないと”と言い出したことがあった。すると、皆、取材に行かなくなるので、紙面を飾ることもなくなり、自然と人気が落ち込んでいったのです。結局、いずれも、ギャラの要求は取り消しました。吉田の場合も、リオ五輪が終わったあと、潮が引くように記者が去っていくのではないかと心配です」

 なぜ、ギャラを要求するようになったのか、マネジメント会社に聞くと、

「過去には曖昧な取材申請による、無報酬の単独インタビューが行われることがありましたので、今後は適切にマネジメントさせていただく所存です」

 スポットライトを浴びてこその“霊長類最強”なのだが……。

「ワイド特集 守ってあげたい」より

「週刊新潮」2016年7月28日号 掲載