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  お笑いコンビの8.6秒バズーカーが、8月19日に単独ライブ『8.7SecBAZOOKAA』を開催する。ORICON STYLEではこのほど、2人にインタビューを行い、リズムネタ「ラッスンゴレライ」で大ブレイクを果たした当時の心境や、仕事が激減した現在の様子、東京進出後初となる同ライブにかける思いなど、「ラッスン」後の今に迫った。

【写真】おなじみのポーズを披露した8.6秒バズーカー

■ラッスン人気の裏で葛藤 たけしの激励で決意新た

 ともに大阪府出身とあって、幼少期から“笑い”に囲まれた生活を送ってきた2人。田中シングルは、1991年から6年間放送された伝説的コント番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)を、幼稚園児ながら食い入るように観ていたという。「両親がダウンタウンさんのことがとても好きだったので、よく観ていましたね。シュールなネタは、わからなかったんですけど、笑い声が入っているから、そこで笑っていました。親に対して『オレ、笑いわかってますよ』っていうアピールですよね」。背伸びをしながらも、時代の流れをつかむために“最先端のコント”に触れてきた。

 中高生の時代には『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)や『エンタの神様』(日本テレビ)などといった番組が人気を博し、いわゆる“ショートネタブーム”が到来。はまやねんは「この時期は『エンタ』とか『はねるのトびら』とか、お笑い番組がめっちゃあって、みんな観ていましたね」と当時の熱狂を振り返る。この流れに感化されたはまやねんは、中学時代からの同級生・田中を誘って、2013年に吉本の芸人養成所・NSC大阪校へ入学。若い世代にウケるネタをとの気持ちで作ったのが、彼らをスターダムへと押し上げた「ラッスンゴレライ」だった。

 YouTubeにネタ動画をアップしたことがきっかけで、NSC卒業後の2014年末から翌年にかけて大ブレイク。以降、テレビ出演するたびに「ラッスン」をやり続けた。「僕らも全く準備をしてなくて、『ラッスン』さえやってればOKみたいな感じだったので、それも悪かったですね。エピソードトークも『寝てないです』と『給料少ないです』のふたつだけでしたから」(田中)「忙しさに圧倒されて、何しゃべったか覚えてないから、オンエア観ても、どこがカットされたかわからない。自分たちに向いているのが何なのかもわからない状況で、大学生がテレビ出ていたって感じでした」(はまやねん)。新ネタを披露する機会にも恵まれないまま時が流れ、ネタの鮮度と体力がすり減っていった。

 そんな最中に起きたのが、ネット上でも話題を呼んだ「たけし『ラッスン』酷評事件」だ。事の発端は、2015年3月8日放送の『北野演芸館~たけしが本気で選んだ芸人大集結SP』(TBS系)。演芸場の支配人に扮したビートたけしの前で、ネタを披露する「魔のカーテンコーナー」に8.6秒の2人が出演した時のこと。いつも通りに「ラッスン」を披露しようとしたところ、たけしが30秒で幕を下ろすボタンを押して強制終了。「バカ大学の文化祭」と一刀両断したことから、ネット上でも勢いづいたように酷評する声が相次いだ。田中は「何かネットの人は『たけしが酷評』とか『叩いた』とか書いていましたけど、芸歴1年目の僕らに、本気で『こいつらおもんない』って言うわけがないですよね(笑)だから、あの報道があった時は、逆にこちらの方が申し訳ないくらいでした。あの言葉も、たけしさんの愛情だと思うので、本当にありがたいですよね」とたけし流の激励に感謝した上で、次のように語った。

 「たけしさんからは、舞台裏でも『これは、飛び道具だから、インパクトが強すぎる。漫才とかの基盤があって、リズムネタがあるのがいいな』とアドバイスしていただきました。その言葉を聞いて、リズムネタだけじゃなくて、漫才、コントなどいろんなジャンルに挑戦してみようと思いました」。言わずと知れた「BIG3」のひとり・たけしから“金言”をもらって、決意を新たにした。

■オリラジの活躍に刺激 酷評バネに再浮上誓う

 今月14日のイベントでは、最大で1日に21本もの仕事が入っていた昨年と比較して「きょうの仕事は3本です」と表舞台への露出が激減したことを報告。ブレイク時には考えられなかった厳しい現実にも、田中は「何か自分たちの実力以上の出方をしていたので、そこはもう『ラッキーやったな』くらいの感覚で。あれでステージが上がったと思わないようにしようと、またイチからちゃんとしようという気持ちですね」と冷静に受け止める。そんな彼らの刺激となっているのが、デビュー時の『武勇伝』ネタからの低迷を経て、作り上げた歌ネタ「PERFECT HUMAN」が現在大ヒット中の先輩芸人・オリエンタルラジオの存在だ。はまやねんは、オリラジへの感謝を伝えながら再浮上への意欲をにじませた。

 「昨年、オリラジさんにイベントで『ラッスン』の完コピをやってもらったってことは、ありがたいなっていうのは思っています。そんなオリラジさんが『PERFECT HUMAN』で2発目当てたから、僕らも2回目当てたいなっていう気持ちはありますね」。強い思いを胸に秘め、今年5月から拠点を大阪から東京に移した。

 東京進出後初となる今回の単独ライブは、コンビとして再浮上できるか否かの試金石。それだけに、準備にも余念がない。「今回は、早め早めにやって、新ネタとかもライブで披露しています。やっぱり、お客さんからはまだまだ『ラッスンの人』って見られていますが、そこは我慢してネタを作り続けるしかないと思っています。また、照明とか音楽とか映像の演出にもこだわって、全体的にすごいエンターテイメントにしたいです。だから、今回のライブは、今まで僕らのことを叩いていた人たちにも見てもらいたい。『リズムネタを続けるか?』ですか…やっぱり、自分たちの得意分野でもあるので、漫才とかコントにも挑戦していきつつ、そこは続けていきたいですね」。絶賛から酷評まで、ジェットコースターのような評価の乱高下に左右され、“流行”の威力と怖さを味わった昨年の経験をバネに、8.6秒バズーカーの第2章が幕を開ける。

■8.6秒バズーカー単独ライブ『8.7SecBAZOOKAA』
日時:8月19日
会場:TSUTAYA O-EAST
出演:8.6秒バズーカー、スペシャルゲスト(後日発表)