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  暖冬なのに、“ふた桁視聴率がとれれば万々歳”というドラマ厳冬時代の新春ドラマが始まった。


 今期は、“キャラ変え”で新境地を切り開いた役者も話題を集めている。

 その一つが、「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」(日本テレビ系・水曜22時)で毒舌巡査を演じる堀北真希だ。これまで「梅ちゃん先生」など、上品で清純なイメージが強かったが、今回は黒いライダースジャケットを着た“ブラック堀北”が「バーカ」「ウザいんだよ、どけ!」と言い放つ。

「電撃結婚後、“交際0日婚”や“中華料理をあまり食べたことがない”など、不思議で変わった一面が垣間見られているので、ホワイト堀北よりも、むしろハマっていますね」(コラムニストの桧山珠美氏)

 さらに、他人の心の声を聞くことができ、事件現場に残った犯人や被害者の心の叫びまで聞き取れる“特殊能力”で事件を解決していく。現場で核心に迫る声を聞き「シンクロ(同調)しました」と言って堀北が失神、チームが出動するという奇妙な筋書きなのだ。

「事件の核心に迫る声が聞けるなんて、『これって、ありなの』と思っちゃうキワモノ設定に苦笑い。おもしろいという視聴者もいる一方で、特殊すぎて苦手意識をもつ視聴者もいるのではないか。ただダークな堀北の陰で、飄々としたキャラで重要人物を演じるDAIGOが対照的でおもしろいですね」(上智大学の碓井広義教授[メディア論])

  突拍子もない設定だが、事件の題材は、動画での殺害予告、カリスマ主婦ブロガーの実相など、“ネット社会の闇”が描かれている。


「現代社会の合わせ鏡としてのドラマという意味では、ネット社会の問題に切り込んでいて評価できる」(同)

 一方、セクシー担当の斎藤工が、犯罪学者という新たな一面を見せている作品が、有栖川有栖の人気小説が原作の「臨床犯罪学者 火村英生の推理」(日テレ系・日曜22時30分)だ。斎藤演じる火村と窪田正孝演じる推理作家有栖のコンビが、警察そっちのけでスピード解決する、これもまた異色作。

 斎藤の代名詞といえば“壁ドン”だが、1月中旬に出演した「おしゃれイズム」では、壁ドンを披露して勢い余ってセットを壊した“珍事”が話題となった。

「セットを壊したことで、“壁ドン俳優”というイメージを壊す伏線になったのではないかと、笑い話になるほど和気あいあいとした現場です」(日テレ関係者)

 これまでヒロインを引き立てる役が多かったものの、「ようやく俳優としての評価が問われる期待作。『女なしでもやっていける』と言わんばかりのイキイキした演技に注目ですね」(碓井教授)

週刊朝日 2016年2月19日号より抜粋